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露出した肩に寒さを感じてサンジは目が覚めた。 部屋は未だ闇の中。 布団が少し捲れ上がっている。ゼフが身体を起こしているようだ。 首を捻ると、ベッドの上にぽつりと浮かんだ小さなオレンジの点が見えた。 「煙草………………」 「ああ、一本貰った。」 「吸えたのかよ?」 「…………まァな。」 言葉と共に煙が吐き出される。 琥珀と黒に塗り分けられたその横顔に、サンジはしばし見蕩れた。 「もう少し寝てろ。」 「ん…………」 ゼフの方へ寝返ると、すぐ目の前に太い血管の浮いた手首があった。 何とはなしにすり寄る。 いつもなら疎ましがって退けられてしまうが、その手は頬と頭を撫でて、サンジの手の上に重ねられた。 覆い被さった手を握ってみる。 するとその手がサンジの指に深く指を絡めた。 嬉しいような、 懐かしいような、 気恥ずかしいような、 …………泣きたいような。 何かを言いたいのに、 いつもいつも口にするような焼き増しされた甘い台詞も、 気のきいた言葉も、 ましてや一番伝えたいことも、 何ひとつ浮かべることができずに、サンジは黙って枕に顔を埋めた。 ぴったりと重ねた手から、とろとろと眠りに誘われる。 意識を手放す直前、ゼフが何か言った気がしたが、気にせずに眠ることにした。 ちゃんと、ゼフの目が自分を写していると感じられるから…………。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - てめェが今の俺くらいになる頃には、 俺がてめェの隣に居られることはまず無ェだろう。 それはどうしようもねェことだ。 けどな、残された俺の時間は全部てめェのモンだ。 ンな泣きベソかかねェでもくれてやるさ。 “赫足”をくれてやったようにな。 ああ、そうだ。 アレはてめェが俺から奪ったンじゃねェ。 俺がてめェにやっただけのことだ。ただそれだけだ。 だからくだらねェコトにおびえてンじゃねェよ。 てめェがいて、バラティエがあって、 それで何処に行くってンだ?えェ? この瞼が閉じねェ限り、離れたりしねェよ。 死が ふたりを 分かつまで。 |
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